民事執行について 【事務職員能力検定試験】vol.6

自力救済の禁止…執行権の国家独占よって民事執行

強制執行

(非)金銭執行、債務名義、建物収去命令

債務名義(民執22)

仮執行宣言の申立を経て確定。異議を申し立てると通常訴状手続に進む。

【送達】

職権により送達:判決・仮執行宣言付支払督促

送達申請(150円)必要:和解調書

執行文

債務名義の記録保管裁判所書記官(300円)

公証人による執行証書(1,700円)

【種類】

単純執行文(確定期限•懈怠約款•引換給付)

事実の到来執行文(条件成就執行文)

継承執行文(譲渡や相続)

 

簡易裁判

少額訴訟

訴額60万円以下の金銭請求

審理は原則1回、反訴✖、利用回数制限有、被告への公示送達不可。

↓効果

支払猶予・分割払い・損害金免除の定め

強制執行の際、執行文は不要で認容判決には必ず仮執行宣言がつく。

控訴は不可だが異議申立ては可能

支払督促

申立書1通(副本不要)を債務者所在地の簡易裁判所に提出

書記官発付の請求金額に制限なし、書面審査のみで債務名義になる。

記載事項は訴状を準用…支払督促は公示送達が利用できないので相手方の住所地注意

↓効果

2週間以内の相手方の意義申立がない(送達日から30日以内、初日含む)までに仮執行宣言の申立て(これを止めるには、強制執行停止決定を得る必要がある)

訴え提起前の和解申立書

正本+相手方人数分.1件2,000円

管轄は相手方所在地と合意

和解期日が期日となり、和解調書の送達申請が必要。

 

仮執行に対する強制執行の停止(民訴403)

原審の記録の保管場所に対して、供託金の原本の写しを提出する。

強制執行停止決定正本を受領

異議の訴えに基づく強制執行停止

①執行文付与に対する異議(民執34)

②請求異議(民執35):存在や内容について不許可を求める

③第三者異議(民執38):目的物が債務者の所有ではなく、実際の所有者が不許可を求める

 

・執行抗告(民執10):上訴審へ不服申立

告知から1週間以内に高裁宛ての抗告書、執行裁判所へ

・執行異議(民執11):上の抗告ができない又は執行官に対して是圧を求める

不服申立期間に制限なし

・配当異議の訴え(民執90):申出があった分の配当は留保

(取扱いは執行抗告と同様、訴えを起こした証明書を提出)

 

 

2担保権の実行

競売のみではなく債権や船舶、航空等の動産の上代位に基づく債権執行先取特権留置権

例:不動産(担保不動産収益執行.180条や強制管理.93条)

【執行の対象】43条

プレハブ・鉄塔等登記できないものは対象外だが、特別法上不動産とみなされる財団有。

共有持分、地上・小作権ともに権利の共有持分。

【申立】

管轄:強制管理・担保不動産収益執行は不動産所在地、物上代位に基づく債権執行は債務者住所

担保権1件に付き4,000円・予納金50~90万円。

 登録免許税:請求債権額+確定利息、損害金1000分の4。

 自動車競売(所有権留保の設定がある自動車は対象外)

 自動車登録ファイルにない自動車は執行官による動産執行(予納金1台10万円)

・担保権の実行による不動産競売を申し立てるには債務名義は必要ない

(担保権の登記事項証明書があれば足りる)民執181

 

 

3換価のための競売

不動産の形式競売、共有物分割等

優先する仮登記があると競売は進行しない。二重差押は可能だが、先行事件で進行する。

買受申出最低額は、競売・売却基準額×0.8

売却の公告は3店セットの閲覧(期間入札、執行官に行う。暴力団は買受もできない。)

現況調査報告書(執行官)評価書(鑑定人)物件明細書(書記官)←誰が作成したものか把握しておくこと

・滞納処分→続行決定申請

・相続登記未了→代位による相続登記

・借地上の建物競売→地代の代払い許可申請

・抵当権設定後に建物建築→一括競売(民389)申立

【手続の停止・取消】

①3回売却を実施しても見込みがない(68条)

②申立債権者が買受人がいないとき手続費用と優先債権額の合計を超える額で買い受ける旨の申出をしない限り取消(63条)=無剰余

【延期と取下げ】

延期:債権者からの申請

取下:買受申出後は、第1.2位の最高価額買受申出人の同意必要

【配当要求】51条

期限(52条)は配当要求の終期まで、申立書・印紙500円・予納郵券必要。

申立者

債務名義の正本を有する債権者・差押登記後に登記をした仮差押債権者・一般の先取特権を有する証明をした債権者

【不動産引渡命令】

買受人が占有する権原を対抗できない第三者や債務者に対し簡易迅速に引渡しを求める。

猶予 

民395条:賃料相当損害金支払いにより買受人の納付後から6カ月は猶予される。

民執83条:猶予期限後+9カ月で引渡命令ができる。

 

 

4債務者の財産状況の調査

【財産開示手続】

2019年 民事執行法改正

・債務者の財産状況の調査に関する制度の実効性向上

・財産開示手続きの範囲の拡大(完全な弁済を得ることができなかったと疎明がある)と罰則の強化(6カ月以下懲役、50万円以下罰金)213条

・第三者からの情報取得手続の新設(204条):東京地裁民事21部

→不動産(205条)給与債権(206条)預貯金債権(207条)

 

※転付命令

債権者の申立により、債務者の支払いに代えて券面額で差押えられた金銭債権を債権者に転付する命令=強制的に債権譲渡(159条)

【要件】

譲渡性・被差押債権が券面額を有し、債権者の競合がないこと

メリット:第三債務者に送達された時点で、独占的に弁済を受けられる

デメリット:転付命令により債務者から弁済されたものとみなされるため、第三債務者が無資力であったとき、債務者に対して支払いを請求することができない。

 

 

執行

・債権仮差押の執行は第三債務者(債務者ではなく)に対する仮差押決定正本の送達により行われる。

催告が終了すると、執行調書を作成して債権者と債務者に郵送する。

↓1か月以内

断行:占有の引渡しのため債権者または代理人必要。即日売却は保管替えの必要なし。

 

代替執行(例:建物収去土地明渡事件)

執行申立、執行手続(建物取り壊し・廃材処理)、建物滅失登記

間接強制(例:子の引渡し)172条:作為・不作為を命じる代替執行

H26ハーグ条約施行後、間接強制前置となった。